鰹節について

matsusaku2010-07-23







今日は、鰹節についての薀蓄をしようと思います。

   かつお節(本枯れ節)の種類

鰹節は、鰹を3枚におろして半分になった身のそれぞれを、背骨を中心に上下に割り、背中側背節(雄節)と腹側腹節(雌節)にした本節と、背と腹を切り分けずにそのまま加工した亀節があります。

基本的に原料の鰹が3.5kg以上の時は本節、それ以下の時は亀節にします。

本枯れ節以は、鰹パックなどの原料にする荒節やカビ付けをしていない裸節などがあります。

   手間ひまかけた芸術品

春にとれた初鰹は、約半年かけて本枯れの鰹節に加工されます。

生の鰹を切り分け→煮て→燻製にし→タールを削って形を整え→天日に乾してカビ付けをし→その作業を数回繰り返して本枯れ節に仕上げていきます。

このようにして作られた鰹節は、生の鰹の6分の1大きさになってしまいます。

鰹節は生の鰹と比べると約6分の1の大きさになります。

何ヶ月も手間暇かけて作る鰹節は、刺身を買うことを思えば、決して高いものではないのです。

   ”かおり”の決め手は、カビ付け

天日乾しした裸節は、自然にアオカビが生えてきます。そのあとまた天日に乾してカビを払い、これを何回か繰り返していくと鰹節の水分が少なくなっていきます。

カビが内部の水分を吸い出し、乾燥してくるとアスペルギルス属という、鰹節の香りに重要な役割を果たしてくれるカビがはえてきます。また、カビの菌糸は脂肪分解酵素を分泌して、中性脂肪を分解しだし汁の透明度を高めます。

この、アスペルギルス属のカビは、日本酒をつくる時の酵母と同じように若干個性の違いがあるため、優良カビを培養してその菌をつけるとおいしい鰹節ができます。これは、生産者によって味の違いができる要因のひとつでもあります。

   松作商店の鰹節

当店1本売りの鰹節は、鹿児島県揖宿郡山川町で、50年ものキャリアを持ち、全国鰹節品評会で「農林水産大臣賞」を受賞した名鰹節製造家「松山」さんが丹精して仕上げた本節です。

1本1本真空パックしてお届けいたします。

鰹節品評会とは、5年1度開催され、1等賞の「農林水産大臣賞」をはじめ、「水産庁長官賞」「県知事賞」「市長賞」「日本鰹節協会長賞」等、仕上節部門、荒節部門、雑節(宗田や鯖)の各部門が、それぞれ選ばれます。



松山さんの鰹節は、ふっくらと厚みがあって、カビ付けが綺麗で、他の鰹節と比べると、削った時深みのある芳醇な香りが際立っています。

鰹節のカビ付けは日本酒を作るのと似ていて、仕込むカビ菌の良し悪しと、管理の技術によって味と香りに違いが出ます。



この鰹節は、初鰹の頃小笠原諸島近海で獲れた鮮度抜群の鰹を、静岡県御前崎港に水揚げし、すぐ鹿児島県山川町に送ります。

小笠原の鰹は鮮度がよく、御前崎から鹿児島に送るのも空冷で鰹を凍結させるので、冷却した塩水に漬けて凍結させるブライン冷凍とは違い、鰹の身に塩味が残りません。

そして、9月までかけて丹念に仕上げ、その年の鰹節の入札がおこなわれます。

当店はこの時、1年分の販売量の鰹節を1度に仕入れます。



松山さんの上質な鰹節は、入札に出される数が少なく全国でも扱っている店は数軒しかありません。

入札に出品される数が少ないと、次の年までに売切れてしまう場合がありますのでご了承ください。

ちなみに、当店の本枯れ節花鰹は、ご注文を頂いてご発送する直前に削ります。
【鰹節の取り扱いについて】

◆鰹節は、軽く布巾で外側のカビをぬぐってから使います。決して水で洗わないで下さい。

水が乾燥した後、ひび割れが起きてしまいます。

また、かつお節のカビですがカマンベールなどのチーズのカビと同じで、食べても害はありません。

外側のカビは、洗い落とさないで布巾で擦るくらいで良いです。

全部落としてしまうとかつお節の乾燥がはやく、かつお節がぼろぼろになってしまいます。

◆削る時は、鰹節の頭の方を手前に持ってきて、押し出して削ります。(当店の鰹節は、頭を上にしてラベルが貼ってあります。)

◆削り器の刃は、なるべく薄めに出した方が綺麗に削れます。



【保存方法】

◆涼しい時期なら常温で保存してかまいませんが、なるべくビニル袋に入れて冷蔵庫で保管する方が良いでしょう。

◆梅雨時にアオカビがはえてしまったら、日光に2時間くらい当てて殺菌し、外側のカビを払えばまた使えます。

 鰹節は日本人の知恵が作った世界一硬い保存食ですので、外はカビても中までカビることはありません。

◆虫が付いた場合

  鰹節に付く虫は、衣類に付く虫と同じでカツオブシムシといいます。

  この虫は毒性はありませんが、日光と乾燥を嫌うので、鰹節を日当たりのよい場所に、2〜3時間裏・表十分日に干し、開いた穴を下にして鰹節を叩き中の虫を出してください。そのあとそして、ラップに包むかポリ袋などに入れ冷蔵庫で保存してください。時々日光に当てると、虫は付きません。



【裏技】

◆冬場に乾燥してカチカチになったら、キャベツか白菜の一番外側の使わない葉っぱに包んで、ビニル袋に入れ冷蔵庫で一晩くらい置くと削りやすくなります。

◆削っていて小さくなった鰹節は、布巾に包んでカナヅチなどで砕き、お茶パックに入れてだしをとると無駄がありません。

   鰹節を削って粉になる場合

鰹節が粉になるのは、鰹節に油分が多いことか、削り器の刃が出すぎていることが原因です。

◆鰹節に原因がある場合、鰹節の削り口を見て、白っぽい部分(油分)が多いと粉になりやすいです。

生の鰹は脂がのっていたほうが美味しいのですが、鰹節にする場合は油分の少ないほうが上質なものができます。



また、鰹節は3年くらい保存がきくのですが、真空パックされていなかったり湿気が多い所に置いたりすると、1年半くらいで乾燥が進みすぎ、また油分が酸化し粉になりやすくなります。



当店の鰹節は、毎年新しいものを仕入れ1年で販売し終わるように心がけておりますのでご安心ください。

また、当店からお買い上げいただいた鰹節は、かつお節に原因が有り削りにくかった場合は、削り途中でも送料着払いで返品いただければ新しいものと無償で交換いたします。



◆削り器のほうに原因がある場合は、刃の出すぎか、刃がうまく研がれていない場合です。

削り器の刃は、なるべく薄く出してください。

刃の調整は、カナヅチ等でカンナ部分の後を叩くと刃が出て、カンナ部分の頭を叩くと刃が引っ込みます。



また、刃の研ぎ方ですが、一番良いのは年に1回くらい近くの金物屋さんなどに持って行って研いでもらうくことです。

刃をつけたままご自分で簡単に研ぐ場合は、刃に水をつけて鰹節を削るのと同じ方向へ砥石を2〜3回滑らせます。

必ず砥石を押し出すときだけ刃にあて、引くときは刃から砥石をはずしてください。

そうしないと刃先にバリが出て刃が丸くなってしまいます。

また、あまり砥石をかけすぎると刃の減りが早いので、2〜3回滑らせる程度でが良いです

   鰹パックとの違い


一般にスーパーなどで売られている鰹パックは、カビ付けのしていない荒節(かつお削りぶしと表示)や良い物でも1回くらいカビ付けをした鰹節(かつおぶし削りぶしと表示)を削っているものがほとんどです。

本枯れ節の削りたてがおいしいのは、かび付けを繰り返すことでできるうまみ成分(イノシン酸)と、揮発性風味成分を多く含むからです。  

ちなみに、当店では風味の良い農林水産大臣賞受賞のかつおパックも扱っております。